確定拠出年金はあくまで自己責任で運用する仕組みです。会社によっては、退職金の一部を確定拠出年金の掛け金として従業員に支給し、退職金を従業員の運用結果次第としている場合もあります。
確定拠出年金は、毎月の掛け金で長期間に及んで投資商品を購入し、60歳以上の給付開始年にならないと現金として受け取ることが出来ないため、非常に長期の運用となります。この投稿では、確定拠出年金を行っている方向けに、長期にわたる資産形成期間に、どのようなスタンスで運用すべきか、ひとつの考え方をご提供いたします。
なお、大切な資産を運用するにあたっては、株式投資や債券投資といった投資商品のリスクをよく理解して投資することが大切です。
配分変更とスイッチング
確定拠出年金では積立NISAなどと同様、長期にわたってじっくり資産形成を行う資金運用ですので、日々の相場の一喜一憂するものではありません。ただし、大きな環境の変化に合わせて、運用方針の修正を行うことがあります。その手法が「配分変更」と「スイッチング」です。
配分変更とは
確定拠出年金を始めるときに、毎月の掛け金でどのような運用商品を購入するか、その割合を決めています。配分変更とは、その掛金で購入する運用商品の種類や配分割合を変更することです。配分変更を行っても、これまで積み立ててきた資産の割合は変更されませんので、新規に購入する資産の購入割合だけ変更する場合に配分変更を行います。
配分変更を行う目的は、変更した投資方針に基づいた投資を行うことにあります。例えば、元本確定商品で手堅く資産を積み上げる方針から、株式などで積極的に運用を行なおうとする場合、配分を変更して運用商品を購入することになります。
スイッチングとは
スイッチングとは、これまで購入してきた資産の商品構成を変更することです。例えば、資産残高で1億円の定期預金があった場合に、その1億円で定期預金を解約して株式投資信託を購入することで、運用資産のポートフォリオ(資産配分)を変更する場合に、スイッチングを行います。
スイッチングを行う目的は、利益の確定や、保有資産のリバランスにあります。例えば、利益を確定したい場合は、リスクの高い株式投資信託を解約して、定期預金などの元本確定商品を購入したりします。リバランスにはいろいろな目的がありますが、例えば、保有資産の1/3を元本確定商品、1/3を株式投信信託、1/3を債券投資信託とバランスを決めていても、長期にわたる運用を行うと、各投資商品のバランスが変わってきます。そうした場合に、スイッチングを行って、当初決めたポートフォリオに戻したりします。また、全体の利回りが計画を上回ったり、下回ったりしている場合、リスクをより多くとるために元本確定商品の割合を減らしたりする場合にも配分変更と合わせてスイッチングを行なったりします。
資産運用の見直しのタイミングは
確定拠出年金は頻繁に資産運用方法を見直すよりは、長期的な視点になって運用すべきですので、運用を見直すタイミングも、日々の相場に一喜一憂せず、年一回ないし数回、一定の日を決めて行うことがお勧めです。
経済危機など、世の中の構造が変わった場合に見直すのが理想かもしれませんが、実はこれは非常に難しいです。例えば、リーマンショックのような経済危機が起きた時、短期的な目線での見直しが長期的な目線での見直しとして適切かというとそうではないことも多いからです。
たとえ株式相場が乱高下しても、長い目で見れば右肩上がりになるのであれば、実はそのままにしておく方が利回りが高いこともあります。素人が一番やってしまうのは、株式が暴落した特に狼狽売りをしたあげく、相場が急に戻って買うタイミングを逃してしまうことです。歴史的な株式相場の上昇は株式の暴落と隣り合わせの時期に起きていますが、そのタイミングを捉えて買い直すことが難しいことは容易に想像がつくと思います。
一方、自分の年齢に合わせて見直しを行うのは良いと思います。一般には、若いうちはリスクを多めにとれる運用を行い、60歳が近づくにつれてリスクの小さい資産にシフトするという考え方はあります。若いうちにリスクが取りやすいのは、まだ60歳まで時間があれば、何かあっても挽回できるチャンスが十分あるからです。
ただ、これも、自分の持っている資産全体で考えるのが望ましく、例えば、確定拠出年金以外で共済年金や保証積み立てなど、確定利回り商品残高が増えているのであれば、全体としてはリスクの小さい資産を無理に確定拠出年金の運用の中で増やす必要はないかもしれません。
以上から、相場の乱高下は気にせず、マイペースで運用を続けつつ、仮に見直す場合でも、年一回ないし数回、一定の日を決めて、長期的な目線で行うことが良いと思います。
まとめ
確定拠出年金は長期目線で相場の変動に一喜一憂せず運用しましょう。世界的に見れば経済は成長していると思いますので、経済成長という意味では、株式投資信託はポートフォリオの中には欲しいですし、世界と言う意味では円建てだけではなく、ドル建ての運用商品も欲しいところです。
よく、新興国に投資ということも聞きますが、日本やアメリカの優良企業は新興国で経済的メリットを得ていることを考えれば、敢えて新興国に投資する必要もないと思います。
シンプル・イズ・ベストです。じっくり資産形成を行うことで安定した運用を心がけましょう。
投資は自己責任です。ご自身で納得して資金運用を行ってください。
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