不動産投資の注意点 その特徴とメリットとデメリット

お金

資産運用の方法としては、株式投資や債券投資投資信託などの金融商品の購入が最初に頭に浮かびますが、インフレに強い資産という視点からは不動産投資という選択肢もありますので、ここでは不動産投資の注意点についてみていきます。

今回の投稿で不動産投資のメリットやデメリットという特徴を理解することで、資金運用の選択肢を広げることが可能になります。

因みに現在は首都圏地区の価格高騰が続いていることもあり不動産は注目されています。しかしながら、投資期間が長期になる場合が多い不動産投資であるからこそ、目先の情報だけに一喜一憂せず、将来の物件価値はリスクがあることを認識し、大切なのはインカムゲインと捉えて、物件の実質利回り(表面利回りではなく管理費や税金を加味した実質的な利回り)に着目して自分で投資判断をすることが大切です。

参考までに私はバブルの崩壊を社会人になったころ経験していますが、当時は多くの方が不動産投資の後始末に苦しみ、社会問題になっていました。そのようなことに遭遇しないように是非この投稿を最後までお読みください。

不動産投資の大きな種類分け

不動産投資には数多くの種類に分けることができますが、ここでは代表的なもので大きく種類分けをしてそれぞれの特徴を確認します。また、基本的にはリスクを限定するため、円での投資、投資先の不動産は日本国内を想定させて頂きます。

不動産を所有しての大家さん業

これが一番わかりやす手法かと思います。すなわち、賃貸することを想定して、不動産の所有者となっや上で借主から賃料を受け取る手法です。立地がよければ安定的な収入が入ってくる反面、何もない所から始めると投資額が大きくなりますので、その分リスクは高くなります。借金をすることをレバレッジをかけるといいますが、不動産市場が下落した場合など、上手くいかなかった場合のリスクが大きいことは覚悟しておく必要があります。

最初に述べた80年代のバブル期の不動産投資の失敗はここがポイントで、不動産が上がることを想定して借金を行って不動産投資を行った結果、不動産が下落した際、大きな借金だけが残ってしまい借金が返せなくなったということが多くの人に発生したものです。最近でも、「お金が無くても始められる不動産投資」という宣伝文句があったりしますが、その場合は借入金とセットの不動産投資形態になっていると思いますので、大きな借金を抱え込むリスクがあると心得て、そうした謳い文句には特に注意しましょう。

余剰資金の運用方法としては新たな借金をして投資をするのは本末転倒といえますが、相続などで不動産を引き継ぐこともあったりしますので、新たな借金をせずに保有した不動産の活用方法としてはおすすめの資産運用方法です

なお、投資額を減らすためにマンションの区分投資という手法がありますが、これも基本的には不動産を所有して大家さんになることと同じです。マンション一棟の所有者になるよりは小口化されていて投資しやすいいうことが売りですが、不動産の所有者であることにはかわりありませんので、管理会社に委託するにせよ、借地借家法などの一般的な法律知識も必要となりますし、大家として不動産の維持管理の責任があることにも留意しましょう。

REIT(不動産投資信託)

リートと読みますが、投資対象が不動産の投資信託で金融商品の一形態です。自分は金融商品の投資家になり、事業者が投資家から集めたお金を不動産に投資して賃貸収入や売却益を投資家に分配します。 投資先は「オフィスビル」や「商業施設」「マンション」など多岐にわたり、専門家が不動産に分散投資をすることでリスクを減らしているのが特徴です。

これは不動産投資というよりは、投資対象が不動産の金融商品ですので、株式や債券の投資信託と基本的に同様のメリットとデメリットがある理解して大丈夫です。後ほど述べる不動産特有の税制上のメリットはありません。また、不動産固有の維持管理は事業者が行いますから、上場されていて金融商品としての売買の流動性もありますので、不動産の資産価値のみに着目した小口の投資商品としては魅力があります。

不動産小口化商品

投資はあくまで投資利回りで判断すべきで、節税を主目的とするのは本末転倒ですが、不動産投資を相続税対策に使うことはよく知られています。これは、相続税の計算をする際、相続財産の評価額を用いますが、現金や預貯金、株式などは時価での評価額になりますが、不動産は土地や家屋が取引価格よりも3割程度低い額で評価されるため、結果として以下で評価するより相続税が低く抑えられることとなるからです。もちろん、不動産は保有し続ける限り、固定資産税は毎年かかり続けますし、維持管理コストはかかりますので、あくまでも相続税に着目した場合の評価の話しです。

REIT(不動産投資信託)の場合は金融商品ですので株式と同様に時価での相続税評価となります。すなわち、相続税を抑える目的に対しては、金融商品にしておくよりは不動産とした方が相続対策になるという訳です。先の大家さん業は不動産評価の観点からは相続対策に適していますがそれなりの金額の金額を必要とします。取り扱いやすいように対象資産を小口化した商品が不動産小口化商品と言われる不動産投資形態です。

正確には、不動産小口商品といっても匿名組合型や任意組合型といった契約形態の違いはありますが、ここでの不動産小口化商品は不動産の所有権を得られ、相続税・贈与税の節税効果を狙える任意組合型を念頭におかせて頂きます。匿名組合型とか任意組合型の違いは、販売している方に聞けばすぐに教えてくれますが、自分が不動産の所有者になれるか、不動産の当期に自分の名前が出るか否かの違いがあり、不動産固有の税制メリットが取れるのは任意型組合とご理解ください。

任意組合型の不動産小口化商品とは、事業者と複数の投資家が任意組合契約を締結し、共同で不動産投資を行う枠組みで、管理・運営は事業者が行い、発生した収益が投資家に分配される仕組みとなっています。

不動産小口化商品は、投資額が小口化されリスクが限定されていることに加え、不動産としての税金上のメリットが取れ、マンションの区分投資と違い不動産全体にリスクを分散出来るため空室リスクの低減が可能となることが魅力的ですが、一方では、組合形式ですので自由が制限されていて流動性がなく、必要な時に直ぐに処分しにくいこと、任意組合ですので、出資額以上の責任を負う可能性がある無限責任であることがデメリットですので、リスクもよく理解するようにしてください。

まとめ

不動産投資はプロであれば事業としてレバレッジを効かして大きな投資額を動かす戦略はありと思いますが、素人の個人投資家が余剰資金の運用先として検討する場合はリスクを取り過ぎないように注意する必要があります。余剰資金の運用先で考えるのであればレバレッジを敢えて効かさない手法が望ましく、キャピタルゲイン狙いではなく、配当や賃料収入などのインカムゲイン狙いとすることが良いでしょう。

その意味では、流動性に重きを置けばREITの購入、不動産自体の運用に関心があり不動産の目利きがある程度できるのであれば不動産小口化商品を検討しても良いと考えます。また、相続などで不動産を引き継いだ場合は、立地次第ですが、その活用の一環として大家さん業を軸に検討を行うのも良いのではないでしょうか?

検討の際の注意点として、これは全てに資産運用に当てはまることですが、特に不動産のような特殊な資産を対象とした投資については、営業マンの言葉を鵜呑みにするのではなく、客観的に他の商品と実質的な利回りを比較して、周りの人や専門家のセカンドオピニオンは参考にして決断することが大切です。

最後になりますが、不動産固有のリスクも理解した上で、以上を踏まえて不動産に投資するとしても、資産運用のポートフォリオの一部としてご自分のご判断でご検討とご決断をお願いいたします。

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