債券投資と株式投資はどちらが魅力的か

投資

大切な資産を運用するにあたっては、投資対象のリスクをよく理解して投資を行うことが重要です。世界的な超低金利が終焉を迎えつつある現在、債券投資と株式投資のどちらが有利なのでしょうか?

この投稿では無理のない投資計画を考える上で必要な債券投資や株式投資の特徴やリスクを一番基本的なレベルで理解できます。

債券投資と株式投資の特徴

そもそも投資対象は、債券や株式以外にも、不動産や金などのコモディディ商品など、数多くあります。そうした投資商品の中で流通量が多くマーケットで売り買いがしやすい金融商品の代表格が債権や株式です。

債券投資の特徴

債券には満期があります。満期まで保有すれば元本が償還されることに加え保有期間に応じた金利が支払われる金融商品が債券です。満期まで保有すれば元本は全額償還されますが、元本保証という意味では注意点があります。例えば債券がドル建てであればドルベースでは元本は保証されますが円ベースに換算すると為替相場の影響により、必ずしも元本は保証されません。外貨に投資する際には、為替リスクがあることに注意が必要です。

債券は満期まで保有しなくても途中で売却することもできます。但し、債券の額面で売却できる訳ではなく、売却した時点の金利水準次第で債券の価格は変動します。売却する時点での金利水準が債券の金利より高ければ売却する債券の額面は割り引かれ、逆に金利水準が債権の金利より低ければ売却する債券の額面は値上がりします。

金利と債券は密接な関係があり、アメリカのシリコンバレー銀行の経営破綻は、金利の上昇局面で大量に保有していた債券に大きな損失が発生したことが原因のひとつです。破綻はしていませんが、日本でも債券を大量に保有している金融機関では所謂含み損が発生しているはずですので、経営不振となる金融機関がこれからたくさん出てくると思われます。

株式投資の特徴

株式には満期はありません。また株式の価格は投資家の期待値が反映されますので常に変動しています。株式は保有していれば、利益を配当という形で株主に還元します。株式投資は価格の変動による売却益を狙う投資戦略がある一方、配当を得る目的で保有し続けるという投資戦略もあります。株式は債券に比べリスクが高い分、リターンも高いのが一般的です。

債券価格は金利が上がると理論的には下落しますが、株式の場合は少し複雑です。一般的には金利が上がると景気後退を見込んで株価は下落すると言われますが、金利が上がっても景気回復が持続している局面では株価は上がり続けることがあります。すなわち、持続的な経済成長が実現している良い意味でのインフレ局面であれば、金利と株価は順相関することが多く、これが株式投資がインフレに強いと言われる所以です。

債券投資と株式投資のリスク

債券投資でも株式投資でも一番大きいリスクは信用リスクです。つまり、債券や株式が紙くずになることが最大のリスクですが、債券で言えば、債券の発行元が破綻した場合、株式で言えば発行会社が倒産した場合がそのリスクに相当します。

債券の発行元は会社だけではなく、国や地方公共団体であることもあります。国が発行している債券を国債と言い、会社が発行している債券を社債と言いますが、国であれば会社よりは倒産リスクが低いため、より安全な投資先となります。逆に、金利の高い債券は信用リスクが高い場合が多く、より慎重な投資判断が必要です。

一般には金利上昇局面では株式が有利、金利下降局面では債券が有利ですので、金利動向はリスク要因となります。金利動向は債券と株式の価格に影響を及ぼしますが、短期の金利変動に一喜一憂するというよりは、少し長い目で見た景気動向の方が、債券と株式の価格への影響という意味では重要です。すなわち、景気動向が良い方向にあれば株式が有利、悪い方向にあれば債権が有利と覚えておきましょう。

債券投資と株式投資の優劣

日本では失われた30年と言われる長期にわたる景気低迷の中にあって、金利は下降の一途をたどり、債券価格は上昇し、株式価格は低迷してきました。

しかしながら、これ以上の金融緩和はのりしろがありませんので、中長期的には金利は上昇すると考えるのが妥当です。したがって、債券投資と株式投資の比較で言えば、軸足は債券から株式へと移していくことが望ましいと私は考えています。

一方、マーケットの不測の事態に備えるためには、リスクを分散することも重要であり、債券か株式かの二者択一ではなく、例えば軸足は株式におきつつ、ポートフォリオとしては双方に分散投資することで安定的な資金運用を行う上で妥当と考えます

債券投資と株式投資の注意点

今回はシンプルな整理で債券と株式を比較していますが、実際にはもっと複雑です。例えば、債券や株式が円建てではない場合や、投資信託という金融商品の形をとる場合があります。

債券投資や株式投資が円建てではない場合は為替リスクに留意する必要がありますが、為替リスクを取らないように為替予約などのヘッジを行なえば為替リスクは取らないことも可能です。私の意見としては、海外への移住を予定している方、あるいは海外で過ごすことが多い方など、外貨の実需を必要としていないのであれば、シンプルに円貨での投資がお勧めです。為替が絡むと手数料が嵩むからです。

インデックス投資など、株価全体の動きを投資対象とした投資信託という金融商品があります。個別銘柄を気にしなくてよいという意味でNISAなどで投資信託は人気がありますが、投資信託は信託報酬や手数料など、コストも相応にかかっているので、より丁寧な投資という意味では、私はインデックスよりは個別銘柄を対象に投資を行う方が良いと考えています。個別銘柄を検討する場合、急成長している会社というよりは、数年にわたり安定的に利益を出し、配当利回りが高い会社を選んで投資してみては如何でしょうか?

個人で投資を行う場合は、手数料を如何に安く抑えることができるかが資金運用のポイントのひとつですので、なるべくシンプルな投資商品を選ぶのが良いと思います。短期で売買を繰り返す場合も手数料が嵩みます。手数料を出来る限り抑えることを頭の片隅におきながら投資を考えましょう。

シンプルな投資商品を選ぶ理由はもうひとつあります。複雑な金融商品を購入する場合は契約書が膨大になり、とてもではありませんが個人では契約書に書いてあることを全て理解することは難しいからです。以前に損害賠償に関わる民法の考え方を解説しましたが、投資商品を販売する側は後にトラブルが起きても対応できるよう契約書に細かく免責事項などを定めています。複雑な取引は必ず把握しにくリスクを内在していますので、シンプル・イズ・ベストを私は基本的なスタンスとしています。

まとめ

リスク分散の観点より一か所に集中投資することは避けつつも、中長期的には金利が上昇局面であることを踏まえ、軸足を債券より株式に移すことで良いと思います。

債券や株式は投資信託で買うよりは、個別に買った方が望ましいです。特に債券は、満期まで保有すれば元本は100%戻ってくるはずですが、債券を投資対象とした投資信託には満期という概念がありません。また、株式の場合は、個別株に注目して配当利回りが高い銘柄を買っておくことができれば、株価に一喜一憂することなく、配当収入を得ることが可能です。

日本経済は超低金利が続いていますが、いつまでもこの状況が続くとは思えません。金利上昇に伴う欧米の金融機関の破綻を見ていると、念のためではありますが、同じことが日本で起こることも想定しつつ、心の準備を行った上で、自分が許容できるリスクの投資を行うことが何より重要です。

※最終的には投資判断は自己判断です。私の考えが少しでもお役に立てれば幸いです。

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