契約書を確認するコツ① (損賠賠償に関する民法の定めと注意点)

契約書

契約書は万が一の場合に備え作成するものですので、契約内容を確認する際には損害賠償の条項には特に注意が必要です。

確率論で言えば、損害賠償を求められるという事態は人生の中ではそんなにはあることではないと思いますが、万が一の場合に備えておくことは自分の生活を守る上では非常に大切です。そこで、ここではポイントなる考え方を確認しますので、最後までお読みいただき、契約を締結する際、損害賠償に関わる条項で何を注意すればよいかをマスターしてください。

その結果として、最終的には専門家に聞くとしても、契約書のリスク・マネジメントに関する知識を自分で学んでおくことは、自らの生活を守ることに直結すると考えています。

損害賠償請に関する民法の定め

民法709条には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」とあります。

当事者間の契約では、よく「免責条項」が定められていますが、民法の709条にある通り、故意または過失がある場合、すなわち不法行為がある場合、免責条項は適用されず、損害を被った場合は損害賠償請求権は依然として残っている可能性がありますので、当事者間の契約のみで損害賠償請求を断念する前に、専門家に相談すると良いでしょう。

また、民法715条では「損害の賠償は、損害を受けた物に対し、その損害の程度に応じて行われる」とあります。また、民法716条では「損害賠償は、債務者の故意又は過失による行為によって生じた場合には、債務者はその責任を負う。」とあります。

ここでの趣旨は、権利または利益を侵害された者を法律で救済することが狙いですので、原則、何か損害を被ったら、相手方に故意や過失があれば、被害者は損害の程度に応じて救済されるべきと解されます。逆に言えば、故意や過失がないと考えられる場合、例えば自然災害などに起因する予期できない損害であると考えられる場合は損害賠償請求の対象とならない可能性が高いです。

加えて、消費者保護法では、商品やサービスを提供する事業者側の利益よりも消費者の利益を重視しており、消費者はかなり守られていますので、契約書に書かれていることが不当と感じる条項があれば、自分で判断せずに、専門家に相談してみることがお勧めです。

以上みてきたように、損害賠償については、民法に加え消費者保護法のような特別法において法律の定めがありますが、実際の損害賠償の金額については、損害の種類、程度、原因、被害者の生活状況、その他の具体的な事情を総合的に勘案して、ケースバイケースで算出されることになります。

「故意又は過失」にあたらないようにするために注意すべきこと

ところで、自分の行為が不法行為とされないためにはどんなことに留意すればよいのでしょうか?それは「故意又は過失」にどのような場合にあたらないかを考察する必要があります。

民法では不法行為が未成年者である場合は法的責任を負わせることはできない為、代わりとしては親権者などが責任を負うことになりますが、それ以外のケースでは以下のようなケースが「故意又は過失」にあたらないと考えられています。

予見不可能であった場合

地震や台風の自然災害による想定外の被害による場合がこれにあたります。東日本大震災の時の大津波の発生が、当時予見可能であったか否かが裁判でも論点になりましたが、予見不可能と見做される場合は、不法行為にはあたりません。もっとも、予見不可能であったことを証明するのは相当大変な作業ですので、安易に「想定外」という言葉を使うのは慎重であるべきと考えます。

十分な注意義務を遵守した場合

事故や損害が発生した場合でも、十分に注意を払っていた場合には不法行為にあたらない可能性があります。法律用語では「善管注意義務」という言葉がありますが、これは通常の注意義務を超えたプロとしての注意を払うことが要求される義務のことで、知らなかったからということは許されません。この注意義務を果たしていたということを証明するのは非常に高いハードルと言えます。

損害賠償に関わる契約書の確認ポイント

以上みてきたように、法令や契約書の内容を遵守していれば損害賠償の発生は避けられますが、契約書で定められた「免責事項」が合理的であるか否かは重要な確認ポイントです。不合理とみなされれば、免責事項の定めがあっても免責とはならない可能性があります。

また、不幸にして損害賠償となった場合、損害賠償額を裁判で争うとなると時間や費用がかかります。それを避けるためには、契約の段階で損害賠償の金額をあらかじめ定めておくことが考えられます。その場合は、損害賠償の予定額が合理的か否か、納得いくまで確認してから合意するようにいたしましょう。

別の機会に触れますが、損害賠償と契約解除の条項は合わせて争点になることがあります。期限の定めのない契約を解除する場合など、契約解除の条件や手続きは、損害賠償の定めと合わせて契約締結時に慎重に確認する必要がある項目です。自分からはどのような場合に解除できるのか、相手からはどのような場合に解除されるのか、契約解除に伴う損害賠償は発生するのか否か、十分なシミュレーションが必要です。

最後になりますが、契約書は万が一の場合に備えた取り決めです。損害賠償の取り決めがある時には、例えそのような可能性が低いと感じていても、契約書に合意する最初の段階で注意深く検討を行うことが重要です。十分な時間をとって契約内容の確認をすること、できれば専門家のアドバイスを聞くことを心がけましょう。

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