60歳からの資金運用はインカムゲイン狙いで

お金

資金運用はそれぞれのライフステージでその戦略が違ってくるものです。一般には、若い頃と違い60歳以降の資金運用は老後の生活資金確保に軸足を置きますので、ある程度は保守的な運用が好まれると考えます。この投稿では、既にある程度の資産を持っていて、どのような資金運用を行うか検討されている方向けに、60歳以降の資金運用についての私の考え方をお伝えします。皆様の事情に合わせた最適な資金運用を皆様で考えていただければ幸いです。

キャピタルゲインを狙うかインカムゲインを狙うか

まず資金運用を大きく分けると、元本の値上がり益を狙うキャピタルゲイン型の投資と、利息や配当などのキャッシュインを狙うインカムゲイン型の投資があります

大きな運用益を狙うのであればキャピタルゲインを狙う投資戦略が適していますが、60歳以降の方々の投資戦略では、一攫千金を狙うキャピタルゲイン型投資よりは、資産の目減りを抑制しつつ安定的にリターンを確保するインカムゲイン型の投資戦略がマッチするのではないでしょうか。

若い頃であれば投資に失敗してもやり直す時間は多くあり、失敗を挽回することも可能ですので、アグレッシブに攻めてみるのも良いと思いますが、60歳以降ではより計画的、安定的に資金運用を行いたいものです。

インカムゲイン狙いの代表的な投資戦略

定期預金や債券の満期保有

代表的なものは定期預金や国債・社債などの債券です。ただし、現状は金利水準が非常に低いため、リターン面での魅力に欠け、運用手法としてはプライオリティが下がると思います。

因みに普通預金や定期預金であれば、銀行が倒産しても原則として銀行あたり1000万円以内であれば元本とその利息は全額保護されます。また債券の場合も発行体が倒産するような場合を除ば、満期まで保有することで元本は全額償還されますので、安全性という面では評価できます。

将来、金利が上がってくれば投資としての魅力が出てくることも考えられますが、現在のような超低金利下では、銀行や発行体の倒産リスクを取ってまで運用するほどではないため、主たる投資対象としては一旦忘れて良いと思います。

株式投資

私がおすすめしたいには個別銘柄の株式投資で、しかも過去の実績をみて配当利回りが高い株式への投資です。

上場会社は配当予想を対外的に開示していますので、利益が出た場合にどの程度配当で還元されるかはあらかじめ想定することができます。

株式は元本自体も価格が変動しますので株価に注目が行きがちですが、配当に着目すれば、安定的に利益が出ている会社は安定的に配当を行っている場合がほとんどです。配当利回りとは、株式の購入価格に対しての1年間の配当リターンを表すわかりやすい指標です。安定配当している株式の中で、配当利回りの高い株式に投資を行うことで、安定的な収入を得ることを狙っては如何でしょうか

配当利回りは4%以上あれば一般的には高めと言えます。ただし、投資にあたっては、その高い配当利回りが一時的ではないことは確認することが重要です。そこで私は

  • 過去3年間の配当実績の確認
  • 株価が大幅に下落しているなど信用不安が起きていないこと
  • 決算短信で配当実施する予想を出していること

の3点を確認するようにしています。

因みに、外国株は為替相場の影響を受けます。60歳以降の投資では安全性を重視したいので、為替リスクを取ることは一旦避け、基本的には円ベースでの日本株投資を前提に考えることとしています。

株式は景気の影響を受けやすい資産であり、買った時より値下がりするリスクはありますが、一般的にはインフレに強い資産であり、会社によっては魅力的な株主優待制度を設けていることもあります。配当利回りが高い株式への投資は長期保有を前提にインカムゲイン狙いの投資を行う場合には魅力的な投資対象と言えると思います

不動産投資

インカムゲイン狙いの投資戦略ひとつに不動産投資があります。不動産投資もインフレには強いと言われているため、株式投資よりは難易度が少し上がるものの、既に不動産を持っている方はその有効活用として選択肢に入れても良いと思います。

簡単に言えば、「大家さんになって賃料収入を得よう」という戦略ですが、基本的なリスクについてはよく理解しておく必要があります。資産そのものを維持管理するために手間がかかるということを別にしても、いろいろな事情により、貸し出した物件に入居者が入らず家賃収入を得られなくなる「空室リスク」、入居者による「家賃滞納リスク」などには特に注意が必要で、優良物件を見極める目があるかが重要なポイントと言えます。

投資信託

投資信託とは手数料を払って投資の運用を専門家に任せる手法です。投資の初心者向けと言われたりはしますが、投資信託は種類が多く、リスクも多岐にわたるため、私はあまりおすすめいたしません。おすすめしない理由の一つに、投資信託ではさまざまな手数料がかかる商品が多く、証券会社や銀行などは、その手数料を稼ぐために投資信託を売っているという側面があるからです。

投資信託は大きく分けると積極的にリスクを取るアクティブ型とリスクを抑えたインデックス型があります。

アクティブ型は市場平均よりも高いリターンを得ることを目的に銘柄選択や投資手法などをリスクを多めにとって運用する投資信託、インデックス型は、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など、特定の指数と連動した値動きをするように設計された投資信託です。アクティブ型は市場平均を上回る運用結果を出すこともあれば下回ることもありますが、インデックス型は目標とする指数に連動した安定運用が期待できます。

もし投資信託を購入するのであれば、手数料が少ないインデックス型を選ぶと良いと思います

外貨の投資

証券会社や銀行からはよくドル建て投資などの外貨建投資をすすめられることも多いかと思います。分散投資の観点からは望ましいという専門家も多くいらっしゃるのも事実です。

私は外貨による資産運用を否定するものではありませんが、老後を日本で暮らすと決めているのであれば円ベースで生活するわけですから、無理して為替のリスクを取る必要はないのではと思います。

まとめ

60歳からの資金運用は、過度なリスクは取らずに、インカムゲイン狙いのシンプルな投資戦略が良いと思います。ここではそのひとつの切り口として高配当利回りの株式投資を説明いたしました。

投資ではシンプルというキーワードは非常に重要で、複雑な運用は高いリスクを孕んでいることが多く、プロではない我々はできる限り避けたいところです。

またNISAなどの税金優遇措置を活用するのは投資コストを抑制できるという意味で有効です。60歳を超えてからでも積極的に活用することで良いと思います。

最後になりますが、大事な財産を運用する戦略は、人任せにせず、自分が理解できる範囲で行うことが重要です。投資は自己責任ですので、後で後悔しないよう、許容範囲のリスクを適切にとりながら手元資金の運用を行い、60歳以降の生活を充実させましょう。

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